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「ミシェル、おはよう。
連絡も迎えの車もありがとう」
にこやかなミシェルにつられて微笑むと、レイコニソックリ…と、ミシェルが笑った。
「病院、何時から面会出来るの?」
「9ジコロ、オッケーネ」
「了解…。ねえ…調べたんだけど、少し前じゃないの?ママが倒れたのって」
私の問いかけに、ビックリした顔のミシェル。
『……わかっちゃったか。
そうだよ。倒れたのは2週間前。今は、点滴治療をしてる。
今回のは、血栓を溶かす薬をカテーテルから注入したんだ』
真面目な顔のミシェルが、フランス語で話しだした。
だいたいは聞き取れる。
『何故、倒れた時に連絡くれなかったの?
ママに口止めされたの?』
苦笑いを浮かべた彼は、頭を掻くと続けた。
『知らせたら別れるって言われてね。
本当に、軽い症状だったんだよ、最初は。
でも、左側にマヒが出始めて…心細くなったみたいだ』
『言葉は大丈夫なのよね?』
『ああ…大丈夫だよ。
点滴治療しながらリハビリもして、このままならマヒもかなり改善するだろうって』
『ミシェル、本当にありがとう』
連絡したら別れるってお母さんらしいけれど、不安でいっぱいだったであろう母を支えてくれたミシェル。
感謝してもしきれない。
『こちらこそ、来てくれてありがとう』
おだやかに微笑む彼は、とても嬉しそうだった。
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