0人が本棚に入れています
本棚に追加
男は、暫くの間、身体が冷えてゆくのも我慢しながら、ゆっくりと品定めをしていった。そうして、あれこれと呟きながら、一つの家に眼をつけた。その家は、格別、裕福なほどでもなさそうであったが、それでも、周囲の家々と比べると一周りほど大きい。白亜の塀でぐるりと構えているその家を前にして、男は暫くの間耳を澄ました。家主の不在を確認するためである。こうした特別な日に酒を空ける場合、深夜まで飲み明かすか、または、家を開けて別の所へ呑みにいっているか、おおよそ、そういったことが多い。そのため、男は人が家を開けやすい、この聖夜をわざわざ狙っている
最初のコメントを投稿しよう！