第1章

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廊下でも、生徒にもみくちゃにされながら、なんとか教室までたどり着いた。凛は隣のクラスなので、しばらくお別れだ。 席に腰を下ろし、フハーと息をはいた。 それにしても、予備のブレザーがあってよかった。あんな格好じゃとても登校できやしない。 そして、実は思い出していた。昨日みた"夢"の一部分を。 夕暮れ。トラック。そして、死神。 断片的だけど確かに、そんなものが出てきたはずだ。それに、夢なのは間違いない。だって―― 「あ、おはよう駒崎!今日もモテモテだな!」 「お、おおはよう仙道くん…」 「あれ、何か昨日と比べてやつれてね?大丈夫か?」 「あああの、うん大丈夫、ハイ大丈夫ですから…」 あたしは――男性恐怖症なのだ。 気さくに話してくれる、この仙道武蔵という人に対してもこの有り様だ。 彼氏は欲しい。イケメン大好きで、見る分には問題ない。でも、なぜだか話すと怖くなってしまうんだ。ひどい時は、息が切れたりもする。少しずつ、少しずつ克服しようと努力はしてるんだけどね。 昔は、もっとひどかった。 だから、自分から口説いたり、ましてや××するなんて、そんな大それたこと……。
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