おまえこれから死ぬんで、そこんとこよろしく

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「――――――は?」 駒崎七美、17歳。高校3年生になって、一日目の出来事です。 「あ、なに?聞こえなかったの?だから、俺は死神で、お・ま・え・は・し・ぬ。今日。もうすぐ。わかったらさっさと死ね」 それは、通りなれた通学路。とっぷりと夕日に染まる都会の空の下、そいつは目の前でヤンキー座りをしてあたしにそう告げた。頭以外全身真っ黒ローブで釘バットよろしく、大きな鎌を肩に担いでいる。 そして理解する。あぁ、これは夢なんだ。 いったい全体、なぜあたしが見ず知らずの男に死の宣告を受けなければならないのか。雑多な夢だ。 しかし夢の中の男は、なぜだか嘘をついてるように思えなかった。道行く人たちも、こんな怪しい男がいるのに目もくれない。まるで、何もみえてないみたいに… そして何よりも。その、あまりに整った容姿に、見惚れてしまったのだろう。 髪の毛は真っ白で、オレンジの光をキラキラと反射し。ぶっきらぼうにつり上がった目は二重でキリリと整い。丸みはあるが引き締まった輪郭は、精悍な獣を想像させる。歳はあたしと同じぐらいだろうか。
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