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肉食系女子のあたしとしては、こんな美形と話すチャンスは逃したくないものなのだ。例え、相手が夢の中の死神だとしても――。
4月初旬の夕時は、まだ肌寒かった。
「そっかー、あたし死んじゃうんだ。どうやって死ぬの?」
「事故だ。今から5分後にトラックが突っ込み、お前は轢かれる。これは運命だ」
「えー、いやだ」
「な゛」
「冗談じゃないわよ、あたしはいい男にモテモテな逆ハーレムライフを送るんだから!そのために女子力アップ習慣中なの」
「いや、だからおまえは死ぬんだって」
男はケケケ、と意地の悪い笑みを浮かべている。その紅い瞳は、無邪気に爛々と輝いている。
「それに死ぬなら、もっとドラマチックじゃないとね。あたしは、あなたになら殺されてもいいかな?」
「――――――は?」
夢の中のあたしは、どうかしてしまっているみたいだ。
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