おとぎ話は始まりき

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子供が泣いていた。 洗いざらした綿のシャツに少し大きめの羊毛のズボンを革のベルトで吊している。 草色に染めた帽子以外はどこといって変哲のない少年だった。 彼は顔を泥だらけの手で擦りながら迷路のような生け垣を泳ぐように走り抜けていく。 「おじぃちゃーん!?」 生け垣を抜けた先はどこかの屋敷の裏庭で張り出したテラスがあった。
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