陰口の楽しさ

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今だから、コウモリだのなんだのと言えるわけで、当時は欠片も意識していなかった。 職場で誰かと関係するためには必要なんだと真剣に思っていたのだ。 『悪口』や『陰口』が。 そこまで貶めるようなことは、自分から積極的には言っていなかったと思う、 けれど、必ずお追従して賛同していたことだけは覚えている。 自分の居場所を確保するために必死だった。 苛々はしたけれど、誰に対しての苛々なのかいつも分からず不愉快だった。 でも、仕事場では笑顔でいた。 気付いている人間はいないと、変な確信があった。子供だな、と思う。 誰もが気付いていただろう、よほどの鈍感で無い限り。 『悪口』はどこにいても必ずやってくる。 けれど、それを言いそれに賛同して笑い合っている姿は非常に醜いだろう。 でも、それが無ければ、関係性は崩れてしまうんじゃないかと私は思う。 だって、本屋を去ってからも どの職場でも『悪口』は付き物だったのだから。
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