プロローーーーグ

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ふぅっと、溜息。  ……結構歩いたかな。  そう思って自身の腕時計を見てみれば、まだ三十分ちょいぐらいしか経ってない有様で。  もっとも、三十分以上砂漠を歩き続けるというものは、存外にこたえるものであるが。  ズボリ、と歩くたびに足が地面へと沈む。最初はその奇妙な感触に新鮮味を覚えたものであったが、それは短時間であればこそ。  「畜生」  足をとられ、一瞬身体が傾く。砂漠とはこんなに歩きにくいところなのか。  そう妙なところで感心しつつ、それでも初めてこれがファンタジーな世界で助かったと思ったのは、砂漠特有の異常な温度を体感しなかったことだ。  カンカンと照りつける太陽は肌をじりじりと焼いているが、気温自体は暑く感じない。  もっとも、実際の砂漠を俺は体験したことが無いわけだから、自身が想像するほど暑い場所ではないのかもしれないけれど。  しかし太陽に向かって歩いたのは失敗だったかもしれないと思う。  何故なら長時間眩しさを堪えるというのは中々に鬱陶しいものであって。無論、方向を確実に知ると言う意味ではこれがベストだと思うのだが。
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