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「ねぇ、お父さん?
私と暮らしてて幸せですか?
私は、お父さんに会えた事、親子として暮らせた事、全部感謝してるんだよ。
でもね、でも....。
私は、もっと沢山の思い出を作りたいよ、お父さん。
もっと沢山、色んな事教えてよ....」
目覚めない父の手を握り、私はとりとめも無く話掛けている。
静に病室のドアが開くと「鈴、まだ居たの?そろそろ面会時間終了だよ」と、姉の悠理が入って来た。
「あっ、姉さん。
ごめん、もう帰るよ。
ねぇ、お父さんどうなの?」
「う~ん、手術は成功したはずなんだけどね....。
何で目覚めるの拒んでるんだか、それが解らないのよ。
鈴、あんた何かしたでしょ?」
「して無いよぉ、今だって早く起きてって話してたんだから」
「あら、じゃあ三途の川で悩んだりはして無いはずね。
だったら、寝ててもちゃんと聞こえてるはずなんだけどな」
「嘘、それじゃこの前の話も....」
「話って?」
「この前、彼がお見舞いに来てくれた時に、結婚の話が出て」
「あら、おめでとう。
でも、学生の分際でプロポーズってのはいただけないわね」
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