父親

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私は涙が収まると、改めてお母さんに尋ねて見た。 「ねぇ、お母さん....。どうして急に本当のお父さんの事なんて?」 「うん、鈴もやっぱり、お父さんと逢いたいんだろうなって。 お母さんはどんなに頑張っても、お父さんには為れないし、きっとこの先お父さんが必要な時が有るかも知れないしね」 私は、お母さんの話を聞きながら何か漠然とした違和感を感じてた。 それが何かなんて、幼い私には理解出来なかったけど、目の前で話すお母さんは、何時ものお母さんじゃない感じがした。 そんなお母さんの感じは、その日を境に日に日に強くなり、とてもお洒落に気を使う様になり、私は変わって行くお母さんの言動に、自然と構えて警戒心を持つように成った。 どのくらい続いただろう、お母さんの変化にも馴れて警戒心も薄れ、何時からかそれが当たり前に感じて来た頃。 「ねぇ、鈴ちゃんもお洒落してイメチェンして見ない?明日お買い物に行こ」 そうお母さんに誘われ、私は素直に喜んだ。 普段鍵っ子の私は、お母さんとの時間は夜しかない、その夜でさえ最近は帰りが遅いお母さんを待つ間に寝てしまったりと、更に少なく為って居たので、一日二人で過ごせる事が本当に嬉しかった。
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