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そして狼のような妖怪は僕の腹部に噛み付いたままその顔を横に、自身の後ろへとスライドさせた。
らめぇ!出ちゃう!ハラワタぶちまけちゃう!
あぁ、こんなボケをかませたらよかった。
しかし今となってはもう叶わない。
体から力が抜けていくのが分かる。
つまり、死ぬ、のだろう。
走馬灯すら見えない。
多分だが、これが存在が希薄になっているという証拠なのだろう。
僕が元の世界で生きていたという証拠はない。
記憶にも現象にも。
しかし、なんだ。僕の瞳は見開かれているようでその狼のような妖怪をしっかりと目に捉えていた。
死んだら呪い殺してやるよ。そんな不吉なことを考えていたその時、僕の足元から光が射してきた。
天国からの光かな?でもそっちにはいけないよ。
こいつを呪い殺すんだ。
とか考えていたがどうも違うらしい。
ゴゴゴゴとかいう轟音が聞こえるし、何より僕はその正体を捉えていた。
少女の放ったレーザー。原理は知らないけどまさしくそれだった。
でも待って。その太さだと僕も───
「死ぬ」
あぁ、最悪だ。最後の言葉が死ぬだなんて。
ギャグ要素も何にもない。
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