一日目『パソコン、それは精密機械である。』

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そしてニートになって早二年。 両親は共働きで半年に一度帰ってくるか来ないかで今はどこにいるかすら分からない。 もしかしたらのたれ死んでるのかもしれない。なんたって息子二人を残して消えた上に仕送りもしないのだから…… ただ金銭面では弟がバイト、僕がネットで稼いでいたからなんとか大丈夫だったのは事実だ。 だった──過去形なのには理由がある。 弟は約一ヶ月前に行方不明になった。 家出をしたのかもしれないし、そうでもないかもしれない。 もし家出なら原因はおそらく僕だろう。 こんなクソ兄といるのが嫌になった。 それに拍車を掛けるように僕があいつの音楽プレイヤーに音楽を入れてあげるついでにエロボイスを入れたのがいけなかったのだろう。 悪かったとは思っているし後悔もしている。 でも僕には探す手立てがなかった。 外には出たくない。 警察なんかにお世話になりたくもない。だから弟も見つからない。 そうして僕のことを知る人はいなくなった。 そんな毎日が続いていたある日、ある夜。 いつも通り嫁と会話をしていた時だった。
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