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「一つはこのまま存在が0になって消滅するか───
もう一つは私に着いてきて存在をなくしたものの園で一生を終えるか。」
そこにはさっきまでのどこか可笑しい空気はなかった。
ピリリと張り詰める空気だけ。
しかし変わらず八雲さんは笑っているがさっきまでと纏う空気、雰囲気が違った。
所謂、強者のソレ。
パンピーな僕でも分かるほどのソレに身体が震える。
腹から何かが込み上げそうになる。
身体が、直感がこの人を異質だと宣言する。
そして八雲さんの言葉は、それだけ聞けば僕を救うという慈悲から来ているのかと考えてしまいそうになる。
だけどそれは絶対、否だ。
この八雲さんの笑みはそんな慈善行為なんかをしてやろうって人の笑みじゃない。
もっとこう、どす黒い理由を孕んだ笑みだ。
その笑みにぞくりと背筋が冷えるのを感じている。
この人の笑みはそういう笑みなのだ
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