第一章‐始まりのシンデレラ‐

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ウィーン 中は自分の想像をはるかに超えるものだった その部屋(?)は丸い、珍しい形をしていて、その壁一面にモニターが青白い光を出している。 部屋の真ん中には直径5メートルぐらいの、あまりにも大きい柱があり、柱にはドアがいくつかついていた ……流石にあの中に部屋は無いよね 近未来 その言葉が一番しっくりくるだろう 入り口からみて右側に、私が追いかけていた女の人と、眼鏡をかけた……20代なかばぐらいの男の人がモニターを見ながら話をしていた 「――どう?何か進展あった?」 「うーーん……あかん、空振りばっかりや。ほつれは見っかったんやけど、イマイチ入り口が……??うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」 びっくりした!?いきなり叫ばなくても…… しりもちついちゃった…… 「アンタ誰や!?どうやって入ってきた!?」 「え……??いや、ドアから……」 「あほう!!そんぐらいわかるわ!!何で入ってきたん!って言うか、この建物どう見えてた!?」 「えっと……全部コンクリートで、丸い、筒みたいな……」 「嘘や!?おい葉月(はづき)!!今のカーテン何%や!?」 「わっ!!すみません!!19%です……」 「はぁっ!?19て……そりゃあ見えるやつは見えるよ……で、何で入ってきたん?」 「え、えとぉ……そこの女の人を追いかけて……」 「へっ!?あたし!?」 「弥智(みさと)……お前か。アンタ、名前は?」 「時山(ときやま)真菜……です」 はっ……!!私は大変な事をしてしまった!! あり得ないほど怪しい女の人をストーカーして、あり得ないほど怪しい建物に不法侵入して、挙句あり得ないほど怪しい人たちに名前を教えてしまった!! もう駄目だ。このまま監禁されて身代金要求されてこのまま人生終わるんだ…… こんな娘でごめんなさい お父さんお母さん今までありがとうそしてさようなら 「そうか……真菜ちゃん、一応不法侵入やけど、こんな怪しい建物に一人で入ったらあかん。危ないでしょ。」 「あ、はいごめんな……え??」 「んーー、真菜ちゃんを家に帰したいんはやまやまやけど、ここに入ったからには話聞いてもらわんと……なぁ??」 その人は悪魔的な笑みを浮かべた 「えぇぇぇぇぇぇ!!」 ――どうやら私はまだ、日常にはもどれないようです……
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