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「ああー、まずは自己紹介やな。俺は杉波麻樹(すぎなみまき)。こっちが槙原弥智(まきはらみさと)。」
「よろしくね~♪」
「は、はぁ……」
「んー、あいつが御代葉月(みよはづき)。おい、挨拶……あいつ今忙しいみたいやから、勘弁したって。」
見ると、葉月と呼ばれた男の人は、少し焦った顔をして熱心にモニターとにらめっこしている。恐らく何か不具合があったのだろう。歳は麻樹さんより下ぐらいかな。
「で、本題や。ここは……まあ簡単に言うたらタイムマシンの建物版みたいなもんで……うわっ、そんな残念な人を見るような目やめて……」
「いや、別に……」
思ったけど
「……この世界には時間があるやろ……って言われてもわからんか……。取りあえず、この世界を支える為の柱となる、もう一つの世界があるんや。」
「はぁ……。」
「その世界が〈童話の世界〉や。」
「童話??」
「そう。童話の世界と、俺らの世界は平行に流れてて、どちらかが狂えば、もう片方も狂ってくるってわけや。」
「それで、この建物の意味は?」
「いやー最近、童話の世界が狂ってきてるねん。だから、こっちの世界のやつが向こうにタイムスリップして、歪みをなおしてるんや。」
「それで、この建物からタイムスリップしていると?」
「お、ものわかりがいいな。その通りや。」
「じゃあ、さっき言ってたカーテンって……??」
「あぁ、それは……ほら、この建物の形って変やんか?それを隠す為に、いつもは特殊な技術を使ってここが普通の一軒家に見えるようにカモフラージュしてるんや。」
「俺らはそれをカーテンって言ってるんやけど、今回それが薄かったみたいで、真菜ちゃんにはこの建物が見えてしまったみたい。」
「たまにおるねん。薄かったら見える子が。」
「成る程……。」
ますます怪しい……。
そもそも童話の世界って、漫画じゃないんだから、あり得ないでしょ
この人たち何かのオタクかな……
私を家に帰してくれそうに無いし、どうしよう……
「……心底疑われてるな。わかった、じゃあ真菜ちゃん」
「ちょっと、絵本の中入ってくれへん??」
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