プロローグ 22:35

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二人の内、一人は知った顔だった。 『ラック・モール春山店』の店長。 つまり、この店の店長だ。 確か名前は…… 「こんばんは、岩中さんと……藤沢くん」 岩中さんと俺の名前を呼ぶのに間が出来た。 長年いる岩中さんの名前は、覚えていたのだろうが、三ヶ月前に入った俺の名前は、首から下げている名札を見て、思い出したようだ。 俺もこの男の名前を思い出した。 高坂彰(こうさか あきら)確か四十歳だったと思う。 四十歳という若さで『ラック・モール』の店長になったという事から『デキル男』というイメージを受ける。 ワックスで撫でつけたオールバックの黒髪に銀縁メガネ、鷹の様な顔立ちは、常に何かを考えている様に見える。 「お疲れ様です」 俺と岩中さんは、店長とその横に立つ男に挨拶をした。 もう一人の男は知らない顔だ。 「初めまして、花崎(はなさき)と言います」 そう言って、花崎と名乗った男は内ポケットから出した名刺を俺たちに渡した。
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