4人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は少し冷える秋の夜道を自転車で走り抜けている。
目指しているのは『ラック・モール』。
日本でも有数のショッピングモールだ。
現在、22:30。これぐらいの時刻になれば、客もどんどんと店を出て行く。
閉店時間は23:00丁度。
俺は何人もの客達とすれ違いながら、店を目指す。
俺の名前は、藤沢信也(ふじさわ しんや)23歳。
『ラック・モール』の夜間警備員をしながら、就職先を探している。
夜間警備員は時給が良い上に、仕事内容は店の中を歩き回るだけでいいのだ。
勤務時間は、閉店時刻の23:00から開店時刻の三時間前04:00の五時間だ。
俺は、関係者用の駐輪場に自転車を停めて裏口から店の中に入る。
閉店時刻まであと三十分という事もあり、数多くの専門店はシャッターを閉めている。
昼間は明るく輝く照明も少しずつ消えて行っている。
「こんばんは、信也くん」
俺は後ろから声を掛けられた。
最初のコメントを投稿しよう!