プロローグ 22:35

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俺は少し冷える秋の夜道を自転車で走り抜けている。 目指しているのは『ラック・モール』。 日本でも有数のショッピングモールだ。 現在、22:30。これぐらいの時刻になれば、客もどんどんと店を出て行く。 閉店時間は23:00丁度。 俺は何人もの客達とすれ違いながら、店を目指す。 俺の名前は、藤沢信也(ふじさわ しんや)23歳。 『ラック・モール』の夜間警備員をしながら、就職先を探している。 夜間警備員は時給が良い上に、仕事内容は店の中を歩き回るだけでいいのだ。 勤務時間は、閉店時刻の23:00から開店時刻の三時間前04:00の五時間だ。 俺は、関係者用の駐輪場に自転車を停めて裏口から店の中に入る。 閉店時刻まであと三十分という事もあり、数多くの専門店はシャッターを閉めている。 昼間は明るく輝く照明も少しずつ消えて行っている。 「こんばんは、信也くん」 俺は後ろから声を掛けられた。
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