第一章

3/9
前へ
/13ページ
次へ
「よし、じゃあ次お前の番な!」 「僕?僕はこんな高い門越えられないよ」 「大丈夫だろ。俺ちゃんと下で受け止めてやるから」 「そういう問題じゃなくて…」 「そうだね、門を飛び越えるなんて普通の子じゃ出来ないよ」 やろうと思えば俺でも飛び越えられる高さだが、 普通の男子高校生がやるわけにもいかず苦笑を漏らしながら困っていると 王道くんの後ろから物腰の柔らかそうな胡散臭い笑顔の男が現れた。 副会長だろうか…? 「そうなのか…ん?お前誰だよ」 「私は副会長の宇佐美 遼(うさみ りょう)です。お二人を理事長室まで案内するよう言われてきました」 「そうか、俺は間宮肇だ。俺達門が開いてなかったから困ってたんだぞ?」 「遅くなってすみませんでした。ですが、この門は8時にならないと開かないんですよ」 「あと10分もあるのか、じゃあ飛び越えた方が早いな」 「あの門を飛び越えたのはあなたくらいですよ?」 まさに王道の流れ… このままだと俺はこの二人のキスシーンを目撃せねばならないのか… 度の入ってる眼鏡にするべきだった ぼんやりと考えながら時間が過ぎるのを待っているとあの台詞が聞こえてきた 「なぁ、お前気持ち悪いから無理して笑うなよ」 「え?」 「胡散臭いんだよ、あんたの笑顔は」 「…指摘してきたのはあなたが始めてですよ。気に入りました」 「何言っ…!?」 あぁ…回避するのは無理だった 何が悲しくて朝から男同士のキスシーンなんか見ないといけないんだ… さっさと殴られてしまえ 「っ…なにすんだよ!!!!!」 「ぐ、っ…」 王道くんは俺の期待を裏切らず思いっきり副会長を殴ってどこかに走り去ってしまった。 副会長…成仏してください というわけでこの間5分 このままここに居てもいいが、副会長が起きたら何かと面倒なことになりそうなので 俺も出来るだけ静かに門を飛び越えて そのまま昨日念のために用意しておいた学園内の見取り図を見ながら理事長室に向かった。 .
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加