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迂闊だった。
最初からこうなる事を想定しておくべきだったと、今更ながらに後悔する。
俺はさっきまで一体何を考えていた?
もしもの事があってもどうなかなると、そう思っていたのか。
「ツギハギ…」
ブロンドの少女は黒ずくめの彼の名を呼ぶ。その細い声は小さく震えていた。
「…そいつを離せ…」
黒ずくめの男、ツギハギはまるで獣の唸るような低い声で言う。
彼の黒く、真っ直ぐな眼、そして溢れんばかりの怒りはその場にいるもう一人の男に向けられていた。
「離せ、だと?お前に物を要求する権利はないんだよ。
あのジジイといい、ここはムカつく奴らばっかだな!!
おとなしく言う事を聞け!
じゃねえとこの女の頭が吹っ飛ぶぜ?」
男は少女の首に腕を回し、もう片方の手で少女のこめかみにピストルを突きつけている。
人質と言う奴である。
状況はまさに、絶対絶命であった。
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