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続きを話すには、時間を遡らなければならない。
二日前。
つまりは田舎の駅を出発して一日がたった頃。一行は最寄りの街を目指していた。
「本当にこの道であっているのか?」
黒い髪、黒いコート、黒いシャツに黒いズボン、ブーツ。
全身黒ずくめ、そして顔に十字の傷を持つ男、ツギハギは、先頭を歩くサングラスの男に尋ねた。
彼らが歩いているのは荒野に走る一本の道。
だが、これを道と呼んでもいいのかはいささか疑問である。
踏み固められ、かろうじて人や、馬車が通った事が分かる程度だが、他に呼び名がないので道と言う他ない。
そんな道であったから、ツギハギが疑問を抱くのは、当然と言えば当然の事だった。
「大丈夫だよツギハギの旦那。
前にこの辺りで商売してる行商キャラバンに乗せて貰った時にここを通ったんだ。
最寄りの街までの最短ルートらしいよ。」
先頭を歩くサングラスの男ポーツマス・リブロ・ジョリーは答えた。
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