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彼は通称ハイエナと呼ばれる、情報収集屋で、汽車が運行出来なくなったことにより、路頭に迷っていたツギハギ達に、目的地までの案内役を買って出たのだ。
「本当なんすかねぇ~、怪しいなぁ~あのサングラスのおにーさん。なぁ、ナイト!」
ツギハギの後ろから声がする。
ニット帽を被った少年、ノラだ。
皮肉のつもりなのだろう、わざと本人に聞こえるくらいの声で話している。
「いや、僕は別に」
それに対して、銀髪の美少年はそっぽを向きながら呟くように言った。
彼は背に、身の丈程の大剣を背負っている。
ちなみにこの剣は普段、ツギハギの特殊な指輪の中に"収納"されているのだが…。
本人曰く、いつ誰に襲われても対処出来るように持っておきたい、との事だ。
彼も新しく一行に加わった男を警戒している。
「どうやら俺はまだ皆に信用されていないみたいだねぇ。
とくに、一番奥のお嬢さん。
口も聞いてくれない。」
一行の最後尾、金髪のしなやかな髪と、空色の瞳を持つ少女は、何も言わずに、ポーツマスを睨みつけている。
「えっと確か…サラちゃんだっけ?君はあれかい?
ツンデレちゃんなのかい?」
すかさずツギハギが言う。
「なんだそれは。お前にだけだよ。あんな態度は。」
「本当かい旦那!
じゃあ俺はあのかわい子ちゃんに特別視されてるってことかい?!」
「あぁ。ただし悪い意味でな。」
「はは、だろうね」
ポーツマスは笑顔を浮かべる。
「さぁ旦那!最寄りの街、イマールはすぐそこですよ!」
「……」
「どうしたんだよ旦那!黙っちまって。」
「いや、何でもない。」
ツギハギも笑ってみせた。
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