序章  鏡の中の世界

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もうすぐ、終わろうとしている冬休みの一日を、あたしは部屋の中で、ダラダラと過ごしている。       その時のあたしは、ベッドの上に寝転がりながら、昨日買ったばかりの、雑誌の今年の占いを熱心に読んでいたんだ。       有栖。       ふと、誰かに名前を呼ばれた気がして、顔をあげる。     寝転がりながら、ドア付近にチラリと視線を移すが、誰も居ない。   床に置かれたクッションの上には、丸まった猫がいるだけ。       気のせいと思い直し、また雑誌に目を落とした時。       アリス       今度ははっきりと、女性の声で、名前を呼ぶ声が聞こえた。      
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