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「アリス。花は、また生える」
「ええ、流石に弱っていますけど、根は無事ですし、他の場所から、また伸びますわ。此処の土壌は特別ですから、回復も早いんです。驚かせたとしたら、ごめんなさい。それより、ねぇアリス」
媚びる視線に、猫なで声は、余計あたしの気分を害す。
死んでないのは、二人の説明で解ったけれど、だからと言って、他人を平気で踏み台に出来る、この薔薇の傍にいたいとは、とてもじゃないけど思えない。
「ごめんなさい。あたし、これからクイーンって人に、会わないといけないくて。今、時間があまりないんだ。ね?ジャバーウオック、行こ」
この場から、一刻も早く立ち去りたくて、急かすように言うと、出口に向かい、そそくさと早足で歩む。
「待って!」
その声と共に、あたしが、前に突き飛ばされるのは同時。
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