第3章 花園

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…行こう、先へ。     振り上げた腕を下ろしたあたしは、進む決心をする。       何度、扉を叩いても、開けようと試みても無理で、中の様子を知る事が出来ない。 ただ、待っているだけに不安になり、どうすればいいか考えた時に、ジャバーウオックの追いつくと言った言葉をおもいだした。   来てくれるよね? 翼があるし、飛べるなら出れる筈だし、背も高いから壁を登れるかもしれない。 あたしがいなくなったから、薔薇も触手みたいな枝?を離してくれると思うし。 大丈夫って、言ってたもの。       振り向き、前を見る。 光はまだ高く、自分が思っているより、時間が経過していない事も、一人で進む決心の後押しに繋がった。       視界に写る世界は、見慣れた町並の他に、見慣れない緑の草原が広がっている。         少し考えてから、普段通学に通っている登り坂を歩きだす。   坂の上からなら、この鏡の中の世界が、もっと見渡せるかもしれない。      
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