3319人が本棚に入れています
本棚に追加
…行こう、先へ。
振り上げた腕を下ろしたあたしは、進む決心をする。
何度、扉を叩いても、開けようと試みても無理で、中の様子を知る事が出来ない。
ただ、待っているだけに不安になり、どうすればいいか考えた時に、ジャバーウオックの追いつくと言った言葉をおもいだした。
来てくれるよね?
翼があるし、飛べるなら出れる筈だし、背も高いから壁を登れるかもしれない。
あたしがいなくなったから、薔薇も触手みたいな枝?を離してくれると思うし。
大丈夫って、言ってたもの。
振り向き、前を見る。
光はまだ高く、自分が思っているより、時間が経過していない事も、一人で進む決心の後押しに繋がった。
視界に写る世界は、見慣れた町並の他に、見慣れない緑の草原が広がっている。
少し考えてから、普段通学に通っている登り坂を歩きだす。
坂の上からなら、この鏡の中の世界が、もっと見渡せるかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!