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驚きと恐怖で、鼓動は早く脈打つ。
心臓が痛くて、飛び出す訳じゃないのに、胸を左手で押さえつけた。
恐る恐る、ゆっくり振り向いてみるけど、やっぱり誰もいない。
それが、逆に怖くて、だけど原因がわからないと、余計怖くて。
自分自身を落ちつかせる為、一度大きく深呼吸し、窓に背を預け、改めて、部屋の中を見渡してみる。
何時もと、何も変わらない部屋があるはずなのに。
ふと感じた違和感と言うか、磁場のように引きつける何かを感じ、そちらに視線を移す。
部屋の中央近くにある、大きなスタンドミラー。
普段は、制服のリボンや、私服をチェックする為に、愛用している家具。
写るのは、あたし。
鏡に写ったあたしは、目が合うと、にっこり笑いかけて、嬉しそうに、こう言った。
「こんにちは、アリス」
先程から、ずっと名前を呼んでいた者は、鏡に写った自分自身。
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