第5章 駅にて

5/7
前へ
/226ページ
次へ
「アリスはいい子だね」   「そんなことないって」   「そんなことあるって。こうしてる間に発車しても困るから、中に入ろう」   「うん」   有栖は入口のドアを開けた。         (くだらねえ茶番の始まりか)       微かな呟きが、後ろから聞こえたような気がして、有栖は振り向く。     ジャバーウオックと目が合う。   「ん?アリスどうかした?」     「なんでもないよ」   そう言って、また前を向いた。       気のせいだろう。 ジャバーウオックはあんな話し方をしない。     ただ、瞳ってあんなに赤っぽかったっけ?      
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3319人が本棚に入れています
本棚に追加