第5章 駅にて

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駅の構内は閑散としていた。 静かすぎてなんか怖い。     「誰もいないのかな?」   「誰もいないわけじゃない。もうすぐ発車するからだよ」   運行ダイヤを見ていたジャバーウオックは、他人事の様に答えた。    「え?」     「急がないといけないね」   次の電車は何時間も先にだから、これを逃したら無理だな。     本気で急ぐ気がないのかのような、のんびりとした口調だ。       「えっ!ええっ?」   「仕方ない。ここは少しだけ俺が動く」   そう言うと、失礼と言ってジャバーウオックは有栖を抱き上げる。     「きゃっ」   初めて、抱き上げられたことに驚き、有栖は小さな声をあげた。     「驚かせてごめん。でも、ちゃんと捕まっててくれる?」       言われるままに、有栖は、自分の腕をジャバーウオックの肩に恐る恐る回す。     さっき、赤っぽいと感じた瞳はちゃんと紫色だった。      
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