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琴弥が目を閉じたのを確認すると、回りにいた神将と風音はホッとして息を吐いた。
[…………私はこれでも気に入っていたんだがな…今は呆れるほど落ちぶれた。]
六合、青龍、玄武は何を言われているのか理解した。
安倍家が琴弥にやってきたことは隠せようもない事実。
「…………琴弥を休ませたい。………今日は失礼します。」
青龍は礼儀を忘れずに一言告げると、琴弥を横抱きにして身を翻した。
それに六合、風音、玄武と続くように貴船をあとにした。
[…………ふっ、せいぜい楽しませてもらうさ。]
その声は誰にも届かずに闇に溶けた。
青龍に連れられ自邸に戻ってきたのは、琴弥が意識を失ってからそう時間はかからなかった。
そして、目を覚ましたのはその四時間後の明け方近くだった。
初めは、朧気な眼差しをしていたが、意識を失う前のことを鮮明に思い出した。
「………もう…戻れない…。」
「琴弥。」
そう呼んだのは十二神将が一人青龍。
その近くには、六合、風音、それから玄武の四人。
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