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村を出て六日経ち、やっとおおよその目的の町についた。
門に足を踏み入れればそこは、大量の商人や町人で賑わっていた。
噂に聞くところによると人口は数日間世話になったあの村のほぼ2倍らしい。
商人が売り歩いている商品を見ると初めて見るものばかりで、俺の心を躍らせた。
まるでガキの頃に戻ったようだ。
そんなことを考えていると、近くで女の悲鳴が聞こえた。
「雅千代様が!助けて!」
急いで駆け寄る。
どうやら、橋から川に子どもが落ちたようだ。
俺は、川に飛び込んだ。
飛び込んだ場所は、子どもからおよそ、舟二隻分ほど。
間に合うだろう。
しかし、流れが速く俺も子どももかなり先へ流されてしまっている。
子どもに手を伸ばし腕を体に巻きつける。
泳いで岸に寄せるが手が陸に届かない。
しかし、少し流されたところで火消しの人間が飛び込んで来て、今度は俺と子どもを上のやつが引き上げてくれた。
「おい、お前さん、名前は」
火消しの一人が俺に問いかけた。
俺は首を傾げ、答えた。
「俺は、島原六蔵だ」
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