死人は笑う

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 翌日、俺が起きた頃。 既に村には人が集まり酒屋では少し早めの酒盛りをやっていたり、 小さな子供たちが犬を追いかけたりと、普段の活気のある村になっていた。 自分の村を思い出し感慨深いものだが、今となっては村の人間は往ないのではないかと思うことがある。 俺もまだガキの頃は、木の枝を振り回し仲間と遊んだものだ。 だが、もうその記憶も曖昧なものになりつつある。 報酬を貰い、と言っても四日分の飯が喰える程度の金だが、何とか節約を心掛けていくしか方法はあるまい。 しかし、何とか武士になれないのだろうか。 武士になれば、領地も手に入るし剣術をさらに極めることだって出来るだろう。 どこか村の瓦版に果し状でも叩きつければ、可能性は出てくるのではないのだろうか。 もちろんそんな死にに行くようなことはしたくないのだが、可能性があるのならばやってみる価値はありそうだ。 確か、どこぞの村では領土の主が非人同士に刀を持たせ、戦わせるようなことをやっていると聞いたような気もする。 しかも、何戦か勝ち抜いた方は道場で剣術を一から極めることができる。 要するに位が上がるということがあったらしい。 そんなことをするよりかは、自分でどこかの流派の道場の門を叩いたほうが早いだろう。 もともと俺は百姓家系の身分だ。 田舎で百姓でもやるよりはマシだと思う。
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