死人は笑う

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 村を出て二日たった頃、俺は西に向かって歩いている。 数多くの流派の道場が存在する町を目指していた。 入門できればやってやる。 できなければ、戦に出てまた死ぬ覚悟が必要になるだろう。 道行く先に井戸があることに気づいた。 俺は、引き上げた水に頭から突っ込む。 驚いた。 冬に雨に打たれたかのような冷たさだ。 かなり深いのだろうか。 淵から覗くと透き通った水面は見えるが、その先が全く見えない。 飛び込みたくなる衝動を抑えるのに必死になり再び水をくみなおし、水袋に冷えた水を入れ先を目指す。 残りの距離は、わずかであるのかそれとも、まだまだなのか気になるが、今気にしてもあまり意味のないことだと思い すぐに考えることをやめる。 が、早くてもあと四日は野宿だろうが。
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