カンビュセスの内定

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 大昔ペルシャ帝国のカンビュセス2世という王様が、アフリカのある国を征服しようと大軍を派遣した時の逸話に基づく呼び名だ。昔のマンガで有名になった話だが、大まかに言えばこうだ。  その大軍は砂漠を渡りきる事ができず、退却しようにも食料が完全に底をついてしまった。そこで十人一組になってくじ引きをし、当たった一人が仲間の食糧になる。それを繰り返して生き残った奴らだけが帰る事ができた。そういう話だ。  十人に一人という所が同じなので誰からともなくカンビュセス・システムと呼ぶようになったらしい。これというのも、数十年前に始まった生活保護の大盤振る舞いの結果だ。選挙の度に政治家が生活保護の支給金額を競って上げたもんだから、まともに働いた場合の年収よりそっちでもらえる金額の方が三倍にもなってしまい、日本人は誰も働かなくなった。  政府は世界中の発展途上国から百万単位の移民を入れて、工場労働者とか店員とか、そういう仕事は外国人でなんとか埋め合わせた。だけどそれじゃ、日本の経済は回らない。日本企業でホワイトカラーとして働く人間はどうしても必要だ。
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