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入学して半年が経っても、少女のことが好きだった。
想いは募っていく一方で。
飽きもせず、ただ少女を見つめた。
いつか、気づいてくれるという淡い期待を持って。
ある日、たまたま図書室に立ち寄った。
いつもの席に、少女を見つけた。
心拍数が上がる。
心臓が高鳴る。
目的のものが探せずに、諦めて帰ろうと振り向いたその時。
「わっ」
少年は、少女とぶつかってしまった。
転んでしまった少女に、手を差し出す。
少年の手を掴んだ少女の手は、柔らかく、暖かかった。
「ご、ごめんなさい!!」
スカートについた埃を払った少女は、少年に微笑んで言う。
「これくらいなら大丈夫です。
…………本、探さなくていいんですか?」
鈴のような声だ、と思った。
目の前で見ると、改めて緊張する。
少年より身長は小さいが、それでも女子の平均よりは高いだろう。
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