初めてキミを見たのは―――

5/7
前へ
/9ページ
次へ
「本、ですか?」  そう言った声には、緊張が走っている。 「えぇ。  探してたんでしょう?」  てっきり本に集中していると思っていた。  少女が、何気ないことでもこちらを気にしてくれていたのかと思うと、自然と顔が綻ぶ。 「探したんですけど、見つからなくて。  別に大したことじゃないんで、大丈夫です」  少女の目を見て話すことが出来ない。 「そうですか。  もうすぐ予冷が鳴ってしまいます。  私はここのカギを閉めないといけないのでもうすこし居ますけど、どうしますか?」 「あ、じゃあ、帰ります。  本当にごめんなさい」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加