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扉を閉めて、少年は全速力で走る。
その心臓の早鐘を誤魔化すように。
しばらく走ったところで、壁に背をついて座り込む。
彼女を握った手が。
彼女の体温を覚えてる。
彼女の声が。
まだこの耳の奥に残ってる。
会うたびに惹かれていくこの気持ちは、止まることを知らない。
今まで半年間、ずっと彼女を見てきた。
見てるだけでよかった。
それだけで、幸せだった。
そんな彼女と、さっきまで同じ空間に居て、少しだけれど、喋った。
幸せすぎて、嬉しすぎて、心臓が止まってしまいそうになる。
他人から見れば笑われてしまうようなことでも、少年にとってはキセキのようなことで。
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