友達でいること

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部活を終え、帰りの支度を始めた。 …ふー、今日は疲れた。 いつもよりハードな練習だったため、腰を下ろし暫し休むことにした。 額の汗を拭き、スポーツドリンクを飲んだ。 「松谷。大丈夫か?」 俯けた顔を上げると、優人が心配そうな顔をしていた。 「うん。大丈夫」 そう言って、立ち上がろうとしたとき、体がふらっとして ……あっ! 倒れる。 僕は思わず目を瞑った。 その瞬間が………来ない。 あれ?と思って目を開けると、 優人が僕の体を支えていた。 「たくっ。大丈夫じゃねえじゃん」 「大丈夫だよ」 僕が離れようとしたら、肩をガシッと掴まれて、 「何か心配だから、家まで送る」 「いやいいって……」 優人に強い視線で見られた。 僕はそれに負けて、 「分かった。じゃあ帰ろうか」 「おう、そうするか」 さっきの顔とは一転、笑顔になった。 僕はそれに、ドキッとした。 何故かは分からないけれど。 それはそうと、優人はやっぱり優しくて、僕が荷物を持とうとしたとき、 「荷物、持とうか?」 と、自分もたくさん荷物があるのにも関わらず優人はさりげなく言った。
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