友達でいること

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「優人。俺、優人の球打ってみたいんだけど」 その言葉にはっとした。 今は練習の方が大事な。 スイッチを切り替えた。 「おう。いいぜ」 俺はマウンドに立った。 あそこにあいつがいたら…… そんなことをふと思う。 だがそこには、フェンスが一つ無表情で立っているだけだった。 肩を慣らすため、何球か軽く投げた。 「大智。もう大丈夫だ」 離れたところで素振りをしていた大智に声をかけた。 「分かった。本気でこいよ」 「おう。もちろん」 俺は右手でボールを掴んだ。 振りかぶって……投げた。 ボールは勢い良く、 フェンスにぶつかった。
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