友達でいること

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数分で家に着いた。 ドクッドクッ……ドクッドクッ…… 心臓の鼓動は、走ったせいか速くなっている。 一度大きく深呼吸をし、インターホンのスイッチに手を伸ばす。 ピンポーン 指先が少し震えていたものの、押すことができた。 「はーい」 扉が開かれた。 出てきたのは松谷の母親だった。 「あら。確か……昨日の……」 このままだと埒があかないので、 「如月 優人です」 「そうそう。ごめんなさいね」 松谷の母親はちょっと照れたように言った。 「それで、祐くんの体調は…」 「大丈夫よ。すっかり元気になったわ」 呼んでくるわね、と言って、何処かへ行ってしまった。 「あ。別に、そんな」 俺の声は届かなかった。
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