オリオンを見つめながら

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 深い溜息を吐き、青年は再び空を見あげた。 「おや? 私の知っているオリオン座の神話と違いますね」  不思議そうにスーツ男は声をあげ、 「オリオンは、狩猟の神であるアルテミスと恋仲となっていた。けれど、それを快く思わないアルテミスの兄アポローンはアルテミスを騙し、オリオンを弓で射抜かせた。やがて自分がオリオンを殺したことを知ったアルテミスは大神ゼウスに頼み、オリオンを星座にしてもらった」 「ああ、そういう神話もありましたね」 「ところで、あなたはここに星座を見にきたのですか?」 「ええ」 「たった一人で?」 「……いえ、本当は彼女とここにくるつもりだったんですが、彼女が突然、いけなくなったので、ね。そういうあなたは?」  その問いに、スーツ男はくつくつとのどを鳴らして、おもしろそうに答えた。 「ふふ、私も同じく彼女とここにくるつもりだったのですよ。それが急にこれなくなったって」
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