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「つまり、ドタキャン、ですか」
青年の言葉に、スーツ男はどっと吹きだし、
「彼女と星空を見ながらオリオン座の神話を語ることを望んだ結果が、野郎に語ることになろうなんて。われわれは本当に馬鹿だよ。そうは思わんかね?」
「まあ、馬鹿というよりは、未練がましいといった感じですが」
「ふ。……なあ、きみ。寒くはないかね?」
「二月ですからね。当然ですよ」
それから二人はなにも言わず、オリオンを見つめていた。
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