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「あまり人数を多く出さない理由は、この署の人間に犯人が居る可能性があるからだ」
「え!?」
ざわめき出す会議室、対策メンバーの騒々しさにボードをガンガンと拳を当てて静まらせる
「諸君は『ダーティハリー症候群』を知っているか?……まずは、映画のダーティハリーを知っている者?」
部屋に居る真吾以外の全員が挙手する
「説明の手間が省けるな、よろしい。……ダーティハリー症候群とは、我々警察官の誰もがなり得る可能性のある『精神病』と言ってもいい、この署にそんな人間が居るかもしれないからこの対策部も私が選抜した者だけに納めたのだ」
ダーティハリー症候群
それは現実社会において『悪は生きるに値しない』、『正義の名の下に悪に死の鉄槌を下す』という脅迫的な正義感、使命感からなる警察官が陥りやすい精神病の一種だ
今回の事件の犯人はこういった精神病を持った人間の可能性もあると見て、彼女はあえて人員の数もこの人数にしたのだ
「相手が狙うのは犯罪に手を染めた加害者だ。だが……この町の場合は『加害者が被害者の可能性もある』」
そう、この九十九桜坂は普通の町とはわけが違うのだから
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