Epilogue

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その日の夜、彼女はライトニングと共に再び学校を訪れた。 「お母さんごめんなさい、私はちゃんと勉強してるからね。」 今は家で家事をしているであろう母親に謝罪の言葉を呟く千秋。それもそうだ、「塾の無料講座が有るから友達と行ってくる」と嘘をついて家を出て来ているのだから。 「千秋、あれを見ろ。」 ライトニングが指差す方向を見ると、そこだけ景色が歪んでいた。 「歪みが生じてるね。原因はどこに居るかわかる?」 ライトニングは目を閉じて感覚を研ぎ澄ます。30秒程すると目を開け 「グランドだな、今回は単体の様だ。」 閉ざされた校門を軽やかに飛び越える。グランドは校門を越えてすぐ左側に有る為にそう時間は掛からない。そこには1体の野獣がいた。 「ベヒーモスか、気を付けろ。一撃が重いから、貰えば痛いぞ?」 「知ってるの?」 「昔戦った事がある。今となっては良い思い出さ。」 ベヒーモスと呼ばれる野獣は2人を見つけると、猛々しい雄叫びを上げて千秋目掛けて突進した。 だが彼女は軽々とベヒーモスの巨体の上を飛び越えて後方に着地した。 「早く終わらせて帰ろ、お母さんに心配かけたくないし。」 千秋が左手を前に伸ばすと、何もない空間に光が集まり1本の剣が現れた。女神エトロの加護を得たライトニングが千秋の為に生み出した剣だ。 千秋がそうこうしている間にライトニングは行動していた。 「吹き荒れろ!」 彼女の発言と共に掌から真空の刃がベヒーモス目掛けて放たれた。真空の刃はベヒーモスの身体を切り刻み、浅い傷を数多く刻んでいく。傷からは血ではなく、光の粒子が吹き出した。 「今だ!」 ベヒーモスが真空の刃に身体の自由を蝕まれている間に千秋は接近し、真空の刃が消えると同時にベヒーモスの背中を駆け抜けて、頭に剣を突き立てた。 するとベヒーモスは苦しそうな叫びを上げながら消え、光の粒子が辺りに散らばった。 「これで歪みは……よし、無くなってるね。」 歪みの有った場所を目で確認すると、元に戻っていた。「歪み」は「その世界に絶対に存在しないものが現れた時に産まれるもの」だ。今回の場合はベヒーモスが歪みの原因だったのだ。
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