Epilogue

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「化け物が…」 ライトニングは顔を強ばらせてそう呟いた。今のは彼女が使用出来る魔法の中でも上位にあたるモノの二つであった。のにもかかわらず白い獣は、「それ」は平然と此方を見据えていた。 白い獣は体勢を低くして、走る構えを取った。彼女は焦らなかった。白い獣の巨体では移動速度などたかが知れていると予想していたからだ。 だが予想は簡単に裏切られた。 白い獣は一瞬にしてライトニングとの距離を縮め、巨大前足を振るった。 「な────」 ライトニングはとっさに左手の盾で防いだ。 巨大な獣の一撃によって生じる衝撃に女性の力で耐えられるだろうか? 答えは当然NO。彼女は防ぐのでは無く、避けるべきだったのだ。巨体の白い獣の動きが遅いという偏見を捨てて警戒しながら。 白い獣の前足は防がれ様が関係なく振り抜かれた。ライトニングは衝撃に耐えきれず大きく後方に吹き飛ばされ、身体を校舎に強く打ち付けた。 「ライトニング!!」 千秋は思わず叫んだ。ライトニングを吹き飛ばした白い獣はゆっくりと声の聞こえた方向、千秋の方を向く。赤い獰猛な眼に捕らわれた千秋にライトニングの事など考える暇など与えられなかった。
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