Epilogue

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視界が霞んで状況が把握出来ない。聞こえるのは白い獣の足音だけ。近付いて来ては居ないから、千秋を狙っているのだろうか? 「くっ…。」 ライトニングは視界が回復していくのを待たずに自分の身体に鞭打つ。剣で力の入らない身体を支えて立ち上がった。 視界も戻った。そこには白い獣の猛攻から必死に紙一重で逃れている千秋が居た。 千秋をいつあの猛攻が捕らえてもおかしくは無い。急がなければ千秋はやられてしまう。 そんな焦りを押し殺して、彼女は自分の身体の治癒に努めた。 痛みが退いていく。身体も少しずつ言うことを聞いてくれる様になっていく。 最低限の回復を済ませたライトニングは剣を強く握り直して千秋に加勢した。 白い獣の視線が自分に向くのが解ると身体が強ばる。先程の一撃でライトニングは無意識に恐怖を感じてしまっていた。 「ライトニング!下がってて!」 千秋が叫ぶ。どうやら千秋はライトニングの動きがおかしい事に気付いているようだった。 「チッ…すまない。」 潔く後退して本格的に身体の傷を癒やす。戦闘経験が一年も無い女の子に頼って自分だけ逃げるなど、ライトニングにとっては屈辱的だった。 それから五分間、千秋は白い獣の猛攻に耐えた。 「ハァ…ハァ…。」 インターバルの無い状態で無酸素運動に近い行動をずっと強いられていた彼女の身体は限界に達していた。 足は震え、気を抜けば崩れ落ちるかの様で汗は止まってしまっている。剣を握る握力も、殆ど失われており攻撃すれば逆に剣を吹き飛ばされそうな程であった。
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