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今はまだ魔王帝国からは魔物による被害の増加ぐらいしか受けてはいないが、じきにこちらが持たなくなってしまうだろうと男性は言った。
「……そこで勇者が魔王を倒し、魔王帝国を機能停止に追い込む。という事なんですか。」
「うむ。魔王を暗殺することによって混乱し、戦争どころではなくなるはずじゃ。」
あとは何とかして科学帝国をねじ伏せれば魔法王国は安泰、という訳だ。
「ちょっと難しそうじゃがの。」
ちょっと所では無い。下手すれば全国を周り数多の死地を巡らないといけなくなる依頼である。結斗からすればそれは断ざるを得ない代物であった。当然の如く断りを入れる。
「…………俺としましては、やっぱり本業の農作業とかをしながらゆっくりと人生を歩んでいきたいなって思うんですけど……」
「なーに言っとる。若干14歳で下町で親父さんと共に噂になった若造が。」
頬を掻きながら断りを入れる少年に呆れた目をして男性がそう言うと、少年は少し頬をひきつらせた。
「……噂、ですか?」
「貴殿達は用心棒から何までこなす凄腕の『万屋』を業としており、実際二年ほど前に依頼を頼んだこともあった。」
「……あっ! あの変な依頼ってお爺さんが!?」
どうやら少年には心当りがあったようだ。
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