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00.00 勇者達の冒険記録 前章 *** 『パスワード 認証しました』 「あ、なんか開いた。」 「・・・凄いじゃない、さすがね!」  深夜十一時、私立悠々学園東高校に付属する図書館。照明が落とされ、暗闇に包まれる図書館の隅にある開いた扉の前に、懐中電灯を持った二人の生徒がいた。 「やっぱりあの噂は確かだったんだわ! ほら、早く行くわよ!」 「お、おい、本当に行くのか!?」 「そりゃそうでしょ!? 何のためにこんな深夜にここに来たって言うの?」 「そらそうだが・・・」  どうやらこの高校の生徒のようだが、しかしどうしてこんな所にいるのであろうか? その理由はどうあれ、決してそれは正しいことではないだろう。 「ほら、早く行った行った!」 「ちょ、おい、押すなっての!」 *** 「明かりがついてる・・・」 「・・・教員室、か?」  扉の先、彼女らが着いたのは一つの部屋であった。部屋自体を見ればさほど広くはないものの奥にも扉があるので、この先にもいくつかの部屋があるかもしれないと少女は考えたようだ。しかしそれよりも重要なのは、 「zzz・・・」  恐らくこの部屋の主であろう白衣を着た太い男性が、事務机に突っ伏した状態で寝ていたことである。 「zzz・・・」 「なあ、もしかしてこの部屋ってただの教員室なんじゃないか・・・?」 「まっさか。あんな厳重に施錠されてたんだし、何かがあるはずよ。で、あの机の上にある本、何か怪しくない?」  少女が指差したのは、丁度応接間にあたる場所にある大きな机の上に乗った、ノートパソコン大の大きさを誇る分厚い本。彼女は不意に近づき、その本に触ろうとした。 「お、おい! 人のモノは勝手に触らないほうがいいんじゃないのか!?」 「寝てるあの人が悪いのよ、っと。なになに、『001:勇者達の冒険記録』?」  少女が本を触った瞬間、本がひとりでに宙に浮き、いきなり開くとページが勢い良く捲られていくと同時に2つの光が飛び出してきた。 「えっ!?」「うっ!?」  その二つの光は二人を一度包み込むと、小さくなって本の中に吸い込まれていってしまった。それと同時に机に落ちる本。 「zzz・・・」  残ったのは、机に突っ伏したまま寝ている男性だけだった。
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