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水が当たっている最中、ずっと顔をしかめ傷口がシカシカするのを我慢した
涙を流さないよう必死に鼻をすすり、血が洗い流されるのを見つめた
「よしっ!もういいかな!!」
そう言って蛇口を締めた成房
最後まで涙を我慢した愛花の頭にそっと手を載せた
「偉いな!泣かなかったな♪」
「うん、ちゃんと我慢したよ!」
まだ残るジクジクした痛みに耐えながらも、必死に笑顔を作った愛花
その顔を見てまた、ワシワシと少し乱暴に頭を撫でて返した
「愛花?」
「ん?何?成房?」
「泣かなかったのは偉いけど、もしこれからまた痛かったり…怖い思いした時は、俺の前では我慢しなくていいからな?」
「どうして?」
「愛花にもしものことがあった時は、俺が絶対守ってやるからな!
だから、そんときは俺の前では泣いてもいいんだ!」
「成房は、私を何から守ってくれるの?」
「そ、そんなの…全部だよ!」
「全部?」
「とにかく全部だ!!」
赤い顔をそっぽ向かせ隠そうとする成房
「愛花の未来全部俺が傍で守ってやる…だから、他のヤツの前で泣いたり甘えたりするなよ!」
「うん♪」
濡れた脚をハンカチで縛り
「よし!行こうぜ♪」
また手を伸ばし握る
頷く愛花の手を引き、二人は家屋内へ入って行った
まるで、仲の良すぎる兄妹のように…。
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