想い×思惑

4/20
307人が本棚に入れています
本棚に追加
/332ページ
2026年、夏 成房10歳、愛花9歳 嵐の夜、雷の音に怯え枕を抱えベッドの中で愛花は蹲っていた “ゴロゴロ!!ゴロゴロー!!” 「キャッ!!」 大きな音に悲鳴を挙げると、慌て走る足音が廊下に響いた 走り入って来たのは成房だった 「愛花!!」 布団で丸まり、ガタガタと小さく震える愛花 成房は布団ごと愛花を抱き締めると 「俺がいるから!恐くない!恐くないぞ!!」 自身の声の震えを感じながらも必死に愛花を励ました 「俺が一緒にいるからな?大丈夫だぞ!」 「う、うん…」 「一緒に寝るか?」 「うん…」 「とりあえず布団の中に入れてくれ!」 「うん!」 小さな隙間に体を潜り込ませ、二人は一つの布団の中で身を寄せあって丸まった 雷鳴が轟くたびビクッとする愛花 「もっとこっち来るか?」 「うん…」 成房の手が頭をヨシヨシと撫でる 少しずつ治まって行く体の震えに、愛花は安心を取り戻しつつあった 「成房の体…温かいね」 「そうか?愛花の足が冷たいだけだろ?」 「そうかも…」 「もっとくっ付けていいぞ。暖まるだろ?」 「ありがとう…」 小さな脚を絡め合い、二人は目を瞑る 遠ざかって行く雷鳴と共に、次第に隣で横になっていた愛花から寝息が聞こえてきた 愛花の寝顔を確認し、成房も目を閉じる 柔らかい髪を一撫でし、成房は微笑んだ。 .
/332ページ

最初のコメントを投稿しよう!