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就職してからあっという間に季節は巡った。 蝉の鳴く時期を通り過ぎてすっかり冷たくなった空気。 厨房の匂いにも慣れてきた頃。 「遠野くん、休憩入っていいよ。」 「はい、ありがとうございます。」 小太りの店長がのそのそと厨房へ入り、僕は休憩をもらった。 昼のラッシュを終えて一段落したところでカントリーパイをオーブンにかけ、休憩に入るため手を洗う。 そのとき、カランコロンと来客を知らせるドアの鐘が鳴った。
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