『満月の夜は』

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『満月の夜は』

 どのくらい掘っただろうか? 手作業で掘るのは、かなりキツイ。  いくら人目の無い山奥でも、この感じで続けていたら朝になってしまう。流石にそれはマズイだろう。  確か新宿で降ろした客は、5、6メートルでいいと言っていたが、数字で聞くのと実際掘るのとでは、全然違う。  もういっそ、このまま放置していこうか。  いやいや、それは殊更マズイ──と、首を振る。  あの男が“今夜は気を付けろ”と言っていた。実際そうなってしまった以上、もう轍を踏む訳にはいかない。  
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